Kyoto City University of Arts

Advanced Design Studies

PoolRiver

プールリバー


#24

谷繁玲央

多様性の生産

//開催日時:

2021/6/15(火)

13:00-14:30

//備考:

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//略歴:

谷繁玲央
1994年愛知県岡崎市出身。2018年東京大学工学部建築学科卒業(隈研吾研究室)。2020年同大学大学院工学系研究科建築学専攻修了(権藤智之研究室)。現在は同研究室博士課程で住宅メーカーの歴史を研究している。専門は建築構法と建築理論。


//以下、ご登壇いただく 谷繁玲央さんに関連するテキストの引用です。
//聴講する学生さんは事前に読んで予習をお願いいたします。

事件後の実況見分で、目撃者が集められて、口々に違うことを言う。あまりに違うことを言うものだから、目撃者同士の共犯関係のようなものが生まれる。《フードコート》は各回、こうした居心地の悪さ ― 絶望的に違うものを観ていたことを共有する感覚 ― を残して終わる。(・・・)経験の脆さ、共有できなさを抱えながらも、それでも同じ場を共にすることの可能性。
谷繁玲央 「理想」演劇へ向けて
かつて大量生産されたものはもはや敵ではなく、目の前に転がっている廃棄対象や遺物でしかなくなった時代に、われわれはそれらを遊ぶ対象として見ることができる。工業化住宅から「ハウスメーカーがつくったともの」という記号が剥奪されて、たんなる「モノ」になり、そこにわれわれがもう一度介入できる。
アーバニズム、建築、デジタルデザインの実践とグラデュアリズム|中島直人(都市計画研究者、東京大学工学部都市工学科准教授)+秋吉浩気(メタアーキテクト、VUILD)+中村健太郎(建築理論家、モクチン企画)+谷繁玲央(東京大学大学院)
工業化住宅の歴史を紐解くことは、往々にしてこの多様性か単一性かという堂々巡りを追いかけることである。80年代はとりわけ多様化が不可解な方向で進んだ時代でもあり、鉄骨の構造にツーバイフォーの屋根組の住宅、コンクリートパネルと木質パネルの混構造の住宅などのキメラ的な住宅を見つけることができる。また工業化住宅の和室表現が発達するのもこの時代である。なぜハウスメーカーがこのような多様な商品展開へ執着を見せるのか。それはまず選り好みする消費者の存在と、消費者たちの前に広がるもうひとつの世界=木造住宅の世界の存在があるからだろう。(・・・)ストック活用に向けて住宅の情報をオープンにする、そのようにして「開かれた」住宅を賢明な消費者が選び取る、といった合理的なモデルはたしかに望ましい。しかし、一見不合理に見える選択や志向によって多様な改修のヴァリエーションや遊びが生まれるという想像のほうがより確からしいし、それによって生まれる光景も面白みがあるのではないだろうか。きっとこれからも住宅は不可解なままであろう。
社会と住まいを考える(国内) 3 住宅という不可解な存在 |谷繁玲央(東京大学大学院)
建築家にはもはやテクノクラートに回帰する方法は残されておらず、目の前に広がる建築の風景は自律的に駆動しているかのような巨大なシステムによって支えられている。こうしたシステムを前に、建築に携わるひとりとしてできることは「社会」のような大きな枠組みに頼らずに、まず身の周りの微視的な関係性を観察すること、そこに宿る小さな政治性や倫理を着実に汲み取ることだろう。それは同時に自らが連関にどのような影響を与えているかを観察することでもある。日々建築行為のなかで繰り返される選択が事物の関係性を変容させうる。例えばたったひとつのサッシュを選ぶことでさえ、環境倫理への介入である。こうした小さな介入から始めて、ネットワークに対するチャネルの量を漸進的に増やしていくことが、現代的な社会改良の方法ではないか。それがまさにグラデュアリズムの目指すものであるグラデュアリズムは、手法も目的も規定しない。ただその運動に対する漸進的な姿勢に対して名付けられている。つまり逆説的に、どのようにチャネルを増やすかという手法と、なぜ増やさなければならないのかという目的によって、各プロジェクトの性質が決まる。(・・・)いま必要なのは建築をヒロイックに語るための言葉ではなく、建築の問題に関わるあらゆる存在に日常の現場、まさにその場所で運動の参加者となってもらうための言葉である。
グラデュアリズム──ネットワークに介入し改変するための方策  |谷繁玲央(東京大学大学院)

//ビデオ・アーカイブです。
//@kcua.ac.jpのアカウントのみで視聴可能です。

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//聴講生によるコメントのアーカイブです。

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